『反貧困〜「すべり台社会」からの脱出』著:湯浅誠

世界には、貧しい人はたくさんいて、 日本の貧困はたいしたことはない。 社会保障があるではないか、 と、おもうひとは多いのかもしれない。 「富めるものと貧しい者が両極端に分化した不平等な私たちの社会は、いとも不思議な眼鏡を生み出し、経済的に上位…

『子供たちの戦争』小田実:著

最後まで読み終える本がなくて、読み散らしてばかりの今日この頃。 久しぶりに読んだ7つの掌編からなる連作小説。 ずいぶん昔に「何でも見てやろう」を一気読みしただけで、小田実の小説は初めてです。 こんなにいい小説を書く人だったのですね。 子どもは、…

『ミッドナイト・ホームレス・ブルー』の電子ブック

たとえば、住まいが賃貸、病気になって、長期間仕事ができず、蓄えが底をついたらどうだろう。家賃を滞納し、挙句の果てに払えなくなったら住み続けることはできない。 頼れる人がいなければ、あるいは、頼ろうとしなければホームレスになっても少しも不思議…

『嵐電』うらたじゅん:著

第一作品集『真夏の夜の二十面相』がとてもよかったので、MLで刊行を知り、即ネットで購入。ネットで夢幻堂に注文すると 、丁寧なサインと葉書サイズのミニ原画がついてきました。 上記タイトルの『嵐電』をクリック! 嵐電というのは幼いころ映画ファンのお…

『花いちもんめ』『花らんまん*1』中里春平

ずいぶん、前に書評を読んで、本を探したけれど見つからなくて諦めていました。当時、ネットで本を探すことを知らなかったのです。 書評は大内史夫氏によるもので、とても丁寧に書かれていたので、本を読んだかのように錯覚していました。 けいせい出版が倒…

『エドワード・サイード OUT OF PLACE 』監督:佐藤真

2006年5月16日(火)〜27日(土)*5月21日(日)は除く 会場:アテネ・フランセ文化センター2006年4月29日(土) 大江健三郎講演会+完成記念上映会 会場:九段会館大ホール 下高井戸シネマドキュメンタリー映画祭は、こちらをどうぞ! 『にがい涙の大地…

ねむり癖

まだ、春には早いのに、すぐに眠くなってしまう今日このごろです。 何時間でも眠れてしまいそうです。 でも、そういうわけにはいかないので、起きていますが、起きていても眠い。意識がクリアじゃない。 電車に揺られたらすぐに眠ってしまいます 本を読んで…

『シュルツ全小説』

そのあと、M書店で、tosukinaさんご紹介のポーランド作家『シュルツ全小説』をチェック。 図書館にリクエストしてあったけれど、書店で手にとって即購入。 紹介文に「濃密な描写によって映像が頭の中いっぱいに広がって、クラクラと眩暈がするほどです」 ま…

森村泰昌『卓上のバルコネグロ』

表参道は例年並木をクリスマスイルミナーションで飾り、見物客で賑わうが、今年から混雑がひどく交通渋滞になるということで中止になったらしい。表参道に行くと必ず立ち寄る『ナディフ』に行く。『ナディフ』では森村泰昌の写真集「卓上のバルコネグロ」発…

扶桑社『中学公民教科書』市販本回収

そのあと、予定の忘年会まで時間があるので、渋谷の書店に立ち寄る。 ブックセンターと、紀伊国屋書店で扶桑社の『中学公民教科書』を探す。ブックセンターには『新しい歴史教科書』が一冊、紀伊国屋には8冊、公民が2冊あった。 その後、銀座旭屋、国分寺紀…

[社会]『ご臨終メディア』森達也&森巣博トークショー@青山ブックセンター

21日は『瀕死のメディア』というタイトルで集英社新書『ご臨終メディア』の刊行記念、森達也と森巣博のトークショーに行きました。青山ブックセンターのトークショーに参加するのは3回目ですが、会場は今までで一番広い隣の東京ウイメンズプラザホール。 印…

『カムイ伝』著:白土三平〜遅すぎた読者

1巻と2巻読んだだけですが、もっと早く読むべきでした。 未読の方はせめて、1巻だけでも読んでみてください。13〜15巻は必読だと言われているようです。幼い頃、兄の少年雑誌で白土三平の『シートン動物記』を繰り返し読んだ記憶がある私にとって、『…

『虹の獄、桜の獄』竹本健治:文、建石修志:絵

(本の内容に触れています、未読の方はお気をつけください) この短編集は月刊誌光文社「EQ」に掲載された「七色の犯罪のための絵本」の7編と書き下ろし『しあわせな死の桜』の8編からなります。 この短編集の巻頭の『赤い塔の上で』は男が身を投げるシーン…

『戦後60年』上野昂志&大塚英志トークショー

お得意の時計の逆回しです(笑)。 11日に引き続き、18日も青山ブックセンターへ行きました。上野昂志『戦後60年』刊行に際してのトークショーのゲストは大塚英志。前回と違って狭い会場だったせいか、上野さんの声がくぐもって聞き取りにくく、大塚さんは早…

『思想のケミストリー』大澤真幸

9月11日は衆議院選挙の後、見田宗介と大澤真幸の『思想のケミストリー』(紀伊国屋書店)刊行のトークショーに青山ブックセンターに行きました。原宿からぶらぶら歩いて気持ちのいい午後。そういえば、今日は9.11なのだとあらためて思う。 明治公園か…

『小川紳介と土本典昭』

11日からアテネフランセ文化センターで始まった『小川紳介と土本典昭』に行って来ました。 小川作品『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』、土本作品『ある機関助手』『ドキュメント路上』『パルチザン前史』『水俣ー患者さんとその世界』を観ました。 お二…

靖国参拝のアンケートから思ったこと

先日友人から転送されてきたメールに民主党が靖国参拝についてのアンケートをとっているので参加してほしいとありました。http://research-dpj.com/index.html 民主党支持者ではありませんが、靖国参拝に対しての賛成が多いことにおどろき! アンケートに答…

Reading Baton

「最後に買った本」という項目が「好きな作家」の前にあったようですので付け加えておきます。誰かがどこかで意識的か無意識的か、落としたのかもしれません(笑)。ネット注文で 『クラウド・コレクター―雲をつかむような話 』著者 クラフト・エヴィング商會…

『失踪日記』著:吾妻ひでお〜見え隠れするリアリズム

ららさんが雑巾ダイアリーで紹介されていたコミック。 面白いですよ〜。お奨め! 冒頭に「このマンガは人生をポジティブに見つめ、なるべくリアリズムを排除して描いています」ーリアルだと描くの辛いし、暗くなるからね。 とありますが、ほんとうは深刻なお…

『何が私をこうさせたか』金子ふみ子 著

大杉栄や幸徳秋水を知っていても、朴烈を知る人は少ない。伊藤野枝や管野須賀子は知っていても、金子ふみ子を知る人は少ないと思う。私も同様。tosukinaさんから紹介された金子文子の手紙を読んでいなかったら、たとえ、我が家の書庫の隅っこに埃を被って積…

「国旗・国歌強制に反対する」をめぐって 7『現代思想 4』(青土社)〜特集 教育現場の変貌〜

今の教育の状況、教育行政が何をめざそうとしているかとても分かりやすく書かれています。 ネオナショナリズムがグレードアップしてファシズムが教育の中に入り込みつつある。 有無を言わせぬ力で個々の思いや行動を押さえつけようと。 国にとって都合のよい…

『また、もりへ』マリー・ホール・エッツ〜笑う王冠

絵本を読んでいたら、太宰治が戦中筆を折り、発表のあてもなく、お伽噺を読み直して『御伽草子』を書いたという気持ちが分かるような気がしてきます。 『もりのなか』の続編『また、もりへ』も大好きなシーンがあるので、ご紹介させてくださいね。 これはい…

『もりのなか』マリー・ホール・エッツ著〜一瞬の喪失

もりのなか (世界傑作絵本シリーズ)作者: マリー・ホール・エッツ,まさきるりこ出版社/メーカー: 福音館書店発売日: 1963/12/20メディア: ハードカバー購入: 8人 クリック: 28回この商品を含むブログ (107件) を見る好きな絵本はいろいろあるけれど、古典と…

小さなテーブル〜八重洲ブックセンター

そのあと、幻想作家の作品が多い青木画廊まで歩いたが、日曜日はお休みだったことをすっかり忘れていた。しかたがないので、また、歩いて八重洲のブックセンターまで。 歩き疲れて、2Fの喫茶へ。ミックスサンドイッチセット680円、ミックスサンドイッチにミ…

『下妻物語』ー映画館で観たかった!

http://www.shimotsuma-movie.jp/ 友人が2004年に見た映画ぶっちぎりベスト1だと言っていたのに、いつもレンタルショップで貸し出し中。半額デーにおそく行くからしかたないんですけれど。 やっと観れました。半額デーは早いもの勝負です。 おもしろ〜〜い…

まさか、まさか大西巨人さん?

ところで、映画が終わって、立ち上がると、右よりの少し後ろに大西巨人氏が隣の赤人氏(?)と話をされているのを発見。映画がお好きだとはいえ、今年86歳になられる大西さんが埼玉から新宿まで映画を観にいらしたということがちょっと、信じられなくて、…

『夕凪の街 桜の国』

先日、駅ビルK書店に行ったら、出版社切れになっていた『夕凪の街 桜の国』(こうの史代著双葉社)が入荷していて、さっそく購入しました。 全国に販売網をもつこの大手書店。売り場面積も数年前に拡張して利用者も多いのだが、店頭に置かれる本の品揃えがあ…

記憶に残るものを。

東京地方はことのほか寒い元旦でした。 我が家の休日の定番スラヴァの『アヴェマリア』やアルヴォペルトの楽曲などを聴きながら家事をしていました。ave mariaアーティスト: スラヴァ,グノー出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント発売日: 1995/11/22…

『僕の叔父さん網野善彦』(中沢新一著 集英社新書)

僕の叔父さん 網野善彦 (集英社新書)作者: 中沢新一出版社/メーカー: 集英社発売日: 2004/11/17メディア: 新書購入: 5人 クリック: 42回この商品を含むブログ (133件) を見る面白かった。お奨めです! 網野善彦が日本の歴史学に新しい地平を開いた人だという…

うらたじゅん作品集『真夏の夜の二十面相』

マンガって読みますか?マンガと劇画の違いってなんでしょう?「劇画」という言葉は私も好きな辰巳ヨシヒロが自作『幽霊タクシー』に劇画工房と銘打ったことからとか。 いわゆるサブカルチャーと言われるマンガ、劇画、アニメなどの日本文化に占める活力はす…