『子供たちの戦争』小田実:著

azamiko2007-11-17



最後まで読み終える本がなくて、読み散らしてばかりの今日この頃。
久しぶりに読んだ7つの掌編からなる連作小説。
ずいぶん昔に「何でも見てやろう」を一気読みしただけで、小田実の小説は初めてです。
こんなにいい小説を書く人だったのですね。


子どもは、そのときあるがままを受け入れていきます。
子どもにとって、現実はどうしようもないものだから。
戦時中の子供たちの日常を描いたものというと、何だか、辛くて敬遠したくなりますが、子どもの目に映った「あの時代」は、普遍的な現実的な命題が濃縮されていたということにちがいありません。


ページを繰るたび、小田実のあの眼光と饒舌な語り口が浮かんできます。
それは、そのまま鋭い眼光と洞察的な饒舌さをいうのではなく、その内にある彼を支え続けたもののことなのですが。


否定しがたいあるがままを生きている子どもたちを心に刻みつけながら、記憶を蘇らせながら書かずにいられなかった小説なのだと思いました。



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戦争に正義はあるか・世界対論の旅』について



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