うらたじゅん作品集『真夏の夜の二十面相』

マンガって読みますか?マンガと劇画の違いってなんでしょう?「劇画」という言葉は私も好きな辰巳ヨシヒロが自作『幽霊タクシー』に劇画工房と銘打ったことからとか。
いわゆるサブカルチャーと言われるマンガ、劇画、アニメなどの日本文化に占める活力はすごいものがありますね。今や日本が誇れるのは、これら優れたサブカルチャー憲法9条ではないかと思ったり。
20世紀少年』(浦沢直樹)や『不思議な少年』(山下和美

20世紀少年―本格科学冒険漫画 (1) (ビッグコミックス)

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不思議な少年(3) (モーニング KC)

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はシリーズで読んでいるマンガですが、友人に薦められて、うらたじゅん作品集『真夏の夜の二十面相』(北冬書房)をネット注文して読みました。
うらたさんは1954年生まれ、女性。いわゆるガロ系の劇画家で作品によっておんなじ作者かしら(?)と思うくらいタッチが違ったりします。通底しているのは、メタ性というか。ひとの在りようというものを描いているところでしょうか。少女や女性がとても魅力的で、不思議な空気や風を感じます。その空気や風は懐かしさとともにやってくるミステリアスだったりエロティックだったりするどこか過去の異次元の破れ目から吹き込んでくる空気や風のようです。この本、一冊で、うらたさんという人がみじかな年来の友人のような気がしてきました。
後半部分には日記もありますが、これもとても面白い。
たとえば、こんな。

4月13日(日)おとぼけな一日
(略)夕方、散歩がてら選挙の投票へ出かけたが、投票したい人がいないので「ブッシュのアホ」と書いて投票箱にいれた。しかし、ふと考えたらブッシュに票を入れたことになる。とんでもないことをしてしまった。予定通り白紙投票をすればよかった。私のやることといったら、いつも間が抜けている。そのうえ、帰り道に、石けりするのを忘れてしまった。(略)