映画

『花と兵隊』監督:松林要樹@渋谷イメージフォーラム 

戦争にまつわる映画はしばらく見たくないと思っていました。 上映も終わるという前日、映画の日(毎月1日)に観ることができ、ほんとうによかったです。 (おそらく)本年度ベスト1ドキュメンタリータイに暮らす6人の元日本軍、未帰還兵とその妻たちへのイ…

『そして私たちは愛に帰る』監督:ファティ・アキン

(内容に触れています。未見の方は、お気をつけください) ドイツとトルコを舞台にトルコ人の父と息子、トルコ人とドイツ人の二組の母と娘の物語が同時進行的に、接近し、交差し、繋がってゆく。 カンヌ映画祭で最優秀脚本賞を受賞したよくできた脚本です。…

『BOY A』監督:ジョン・クローリ

(上記タイトルをクリックすると公式サイトより予告編がご覧いただけます) かつて取り返しのつかない罪を犯した少年のその後の物語。 映画であって映画ではなく、しかし、映画そのもの。 希望を語ることが映画だから。 希望を継ぐことが映画だから。 この映…

『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』監督:マーチン・スコセッシ

20代のころミック・ジャガーは、「60歳になっても歌っていますか?」というインタヴューに、「もちろん!」と答えていた。 そのシーンは映画の中にもあって、まさか、60でロックを歌っている?なんて、想像もしなかった。 たぶん、生のステージを見て…

『アメリカばんざい』監督:藤本幸久

(タイトルをクリックすると、映画の公式サイトにアクセスします。以下、映画の内容に触れています。未見の方はお気をつけください) アメリカのホームレスの3分の1は、米軍からの帰還兵だといいます。 社会保障の行き届かないアメリカにあって、 貧しい若…

『ミトン』『チェブラーシカ』監督:ロマン・カチャーノフ@渋谷:シネマアンジェリカ

『崖の上のポニョ』はまだ観ていませんが、ジブリ美術館でも公開中の五十年ほど前のロシアの国民的アニメ,ロマン・カチャーノフ監督のパペットアニメ二作を観ました。どちらもかわいくて、そのけなげさに打たれます。 ミトンのポストカードやチェブラーシカ…

『アメリカばんざい』監督:藤本幸久

(タイトルをクリックすると公式HPにアクセスします) 藤本監督は『Marines Go Home〜辺野古・梅香里・矢臼別』のドキュメンタリー作家。 7月26日からポレポレ東中野で『空想の森』『Marines Go Home〜辺野古・梅香里・矢臼別』と三作品一挙公開。 心の傷…

『靖国』監督:李纓@ミネ・アミューズ

前半一部眠ってしまいました。(^−^; しかし、映画の意図は一貫しています。 タイトルは『靖国神社』ではなく、『靖国』であることに注目するべき。 靖国、とは何なのか? 靖国神社を通して、日本人の『靖国』を考える。 そういう問いかけに思えました。 …

『アニー・リーボヴィッツ〜レンズの向こうの人生』監督:バーバラ・リーボヴィッツ

数々の写真。 撮影現場の臨場感。 被写体となったひとびとのコメント。 写真に興味のある人なら、とても面白くみるはずです。 ジョンがアパート前で殺される数時間前に撮られた、ジョンとヨーコの写真。 デミー・ムーアの妊娠中のヌード写真。 この衝撃的な…

『アース』&少年のリアル

(内容にふれています。未見の方はお気をつけください) 東京に雪の降ったとても寒い日、アースをみてきました。 平日,午後、天候のわりには、入りもいいようです。 BBC制作の「プラネット・アース」とほとんど変わらない映像を使っているので、今ひとつだっ…

・特集 溝口健二と成瀬巳喜男@アテネフランセ文化センター 1月22日(火)〜2月16日(土)(日曜・月曜休館) ・爆笑問題のニッポンの教養 FILE023:「平和は闘いだ」再放送 1月22日(火)午前8:30〜 BS2 #12月の水チョーク PHOT BY MIS.BEE

『暗殺・リトビネンコ事件』監督:アンドレイ・ネクラーソフ

今年の映画事始めは、ときどき映画情報をいただいている『粉川哲夫の【シネマノート】』で5つ☆をつけておられたドキュメンタリーです。 (上記、映画のタイトルをクリックすると、本作品のサイトにアクセスします) 2006年11月亡命先のイギリスで放射性物質…

『日本の悲劇』監督:木下恵介

(映画の内容にふれています) 私の知っている木下恵介作品といえば、代表作といわれる『二十四の瞳』やTVでの緻密な心理描写で描かれるヒューマニスティックなホームドラマだったのだが、ホームドラマとは、程遠い。 戦後、戦争で夫を亡くした女が二人の子ど…

『水になった村』監督:大西暢夫@ポレポレ東中野

もう一度みたいと思う映画は、それほどあるわけではありません。 ただ、たんたんと日常を描いているドキュメンタリーに魅かれることがあります。 日常そのものが、ドラマのように。 九月に鬱病で自死された佐藤真さんの『阿賀に生きる』もそんな映画だった。…

立秋すぎれば

・山形国際ドキュメンタリー映画祭2007前夜祭@アテネフランセ 上映作品と作品解説 ・『アザリアのピノッキオ 7つの断章による狂騒曲』 2007年9月27日〜10月21日 全日程・毎夕19:00〜(雨天決行)◆東京公演 井の頭公園・特設テント劇場(井の頭公園野外演劇…

映画監督 川島雄三@国立近代美術館フィルムセンター

『幕末太陽傳』『雁の寺』『しとやかな獣』などの傑作で奇才、モダニストと言われる川島雄三の特集を約40日にわたり京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターで上映、三本しか観れなかったものの、あらためてファンになってしまった。 傑作といわれる『洲…

『コマンダンテ』監督:オリバーストーン(スペイン、アメリカ合作2003年)@渋谷ユーロ・スペース

(タイトルをクリックすると公式サイトにアクセス、予告編もご覧になれます) スペインのTV番組でカストロへのインタヴュアーとしてオリバーストーンを起用したことから、映画化になったという作品。 カストロの人間的魅力とオリバーストーンの歯に衣着せぬ質…

『机のなかみ』監督:吉田恵輔『あしたの私のつくり方』監督:市川準

(タイトルをクリックすると公式サイトにアクセスします) 少女の映画を2本みました。 どちらの少女もまわりに気を遣いながら生きている。 自分の気持ちをまわりに気づかれないように、あふれ出さないように。 こころにしまって。 それでも、しまいきれなく…

『13/ザメッティ』監督:ゲラ・バブルアニ@渋谷シネセゾン

グルジア映画。 緊張と震撼。 近来みた映画ベスト1。 モノクロームの映像にカワレロビッチにも似た哀調。 不穏な古めかしい音楽がしだいになじみ、フィクションであることを言い聞かせずに、観ることはできない。 はたして、フィクションだといえるだろうか…

『善き人のためのソナタ』監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク

(ネタばれしています)「生む機械」という柳沢厚生大臣の暴言が問題になったばかりだが、これは機械化される人間の抵抗の物語である。 旧東ドイツに綿密な取材をしたドラマということだが、このまま信じてしまうのはナイーヴにすぎるだろう。 しかし、人を機…

日本男子のソコヂカラ

・『シカラムータの春の花咲き乱れNIGHT2007』 4月4日(水)Star Pine's Cafe@吉祥寺 ・『藤森建築と路上観察:第10回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展帰国展』 4月14日(土)〜オペラシティーアートギャラリー@新宿 ・『映画は生きものの記録で…

『元禄忠臣蔵前編』@東京フィルムセンター

10月下旬から続いている没後50年『溝口健二再発見』も27日で終わります。たくさんみたいと思いながら、『近松物語』をみて以来、『元禄忠臣蔵前編』は二回目です。1941-2年作の『元禄忠臣蔵』は画像も音声も悪く、セリフが聞き取れにくい。 その上…

『太陽』 監督:アレクサンドル・ソクーロフ

(映画の内容に触れています。未見の方はお気をつけください) ひと月ほど前に観た映画ですが、いろいろ思い巡らす映画でした。 ご覧になった方の感想をぜひお聞きしたいです。 ソクーロフはどういう経緯で、昭和天皇を映画にしたいと思ったのでしょう? パ…

たわわに実る樹

2日に一度アップしたので、それでアクセスしてくださった方もいるようですが、長くなったので、分けてあらためてアップしました。 東京の情報ばかりで・・・(^-^; 〇山下陽子銅版画展『花と果実の紋章』@啓祐堂ギャラリー 11月10日(金)〜11月21日(火) 〇『映…

『六ヶ所村ラプソディー』監督:鎌仲ひとみ

広い畑に色とりどりの風に揺れるチューリップ。 田んぼの稲に語りかけながら雑草を抜いているおばさん。 保育園の子どもたちに届ける無農薬の真っ赤なトマトをもいでいるおにいさん。 歌いながら、おしゃべりしながら、乾いた昆布を鋏で切りそろえている老人…

『こほろぎ嬢』などなど

〇第19回東京国際女性映画祭〜映像が女性で輝くとき〜@東京ウィメンズプラザ 10月22日(日)〜26日(木) 10カ国15作品 スケジュールはこちら! 特に、期待しているのは浜野佐和:監督の『こほろぎ嬢』10月26日午後3時〜 尾崎翠原作の『こほろぎ嬢』『歩…

『水没の前に』監督:リ・イーファン、イェン・ユイ

初日の9月16日(土)17:20からの『水没の前に』は満席、階段に座布団席まで設ける盛況でした。 2005年山形ドキュメンタリーフェスティバル大賞のこの作品は、2009年完成予定の世界最大級三峡ダム建設により水面下に沈む街のひとつ、李白が詠んだという四川省奉…

ドキュメンタリー・ドリームショー山形in東京

9.16−9.29 ポレポレ東中野 9.30-10.20 アテネフランセ文化センター 隔年開催の山形国際ドキュメンタリー映画祭。 2007年開催に向けて、今年は2005年の上映作品に、東京上映のオリジナル企画を加えたもの。 観たい映画はたくさんありますが、 YIDFF2005年大賞…

『ディア・ピョンヤン』監督:梁英姫

戦前15歳で韓国済州島から来日、戦後、朝鮮半島が分断され、北朝鮮籍を選び、朝鮮総連の中心メンバーとして活動してきた父を中心に、帰国事業で北朝鮮に渡った3人の兄、家族をめぐる梁英姫によるドキュメンタリー。 今現在、北朝鮮に家族をもつひとのギリギ…

『蟻の兵隊』監督:池谷薫

日中戦争に従軍し、戦後も共産軍と戦い中国に残留した元兵長奥村和一さんのなぜ残留させられたか、国への戦後補償とみづからの戦後をたどるドキュメンタリー。 残留に関わる文書をみつけるべく、山西省に赴く奥村さん。 車の窓から見る風景を「懐かしい」と…