『舟越桂 夏の邸宅』@庭園美術館

9月23日で終わってしまいましたが、アール・デコ建築の空間に適度に配置された木彫彫刻とドローイング、静かな時間と空気を纏って、館内に溶け込んでいました。 はまりすぎるくらいに。 着衣の人物像のリアルで端正な美しさ、たたずまい。 彼の木彫は、現代…

この夏

この夏いくどめかの雷鳴窓辺の明かりないままに読む塚本邦雄 葉隠れに羽をふるわす朝際の吾子の出立つかなしみをふと

そっと背中を

手のひらに輝けるもの玉虫の アストライアの遣わせしもの 腹ばいになってごらんよ草原にそっと背中をなでてゆく風 うすらかにほこり被れるデスマスク天衣を纏うそのひとの面 白浜の朝顔咲けり深き蒼海のあおさに融かす夕暮れ 炎天は明るい地獄でありて鳴かね…

紫の花、青い花

9月に入って、夏休み気分もそろそろ抜け出さなければと思うこのごろです。 金沢、白川郷から帰って、8月の終わりに白浜、京都に行きました。 旅について、書きたいと思いながら、何も書くことがないような気がして、今ここにいる、ということのために、それ…

横浜トリエンナーレ2008 9.13〜11.30

『神尾真由子ヴァイオリンリサイタル』@石川県立音楽堂コンサートホール

少し涼しくなって、金沢に行ってきました。 20年ほど前に行った金沢の町の記憶は、仙台の記憶と交錯してしまっていたようです。 いつか金沢21世紀美術館に行きたいと思っていたのですが、18日からのいしかわミュージックアカデミーフェスティバル2008に神…

『女工哀歌』監督:マイケル・ペレド@渋谷:シアター・イメージフォーラム

過酷な労働条件、平均年齢15歳、一日の労働時間18時間、時給7円以下。 私たちが毎日つくるジーンズ。 だれがはいているんだろう? アムステルダム国際ドキュメンタリー映画際アムネスティ・ヒューマンライツ・アワード受賞 #『 灯リ分ノ明カリノ在リカ。…

『アメリカばんざい』監督:藤本幸久

(タイトルをクリックすると、映画の公式サイトにアクセスします。以下、映画の内容に触れています。未見の方はお気をつけください) アメリカのホームレスの3分の1は、米軍からの帰還兵だといいます。 社会保障の行き届かないアメリカにあって、 貧しい若…

[映画]『敵こそわが友〜戦犯クラウス・バルビーの3つの人生』監督:ケヴィン・マクドナルド@テアトル銀座

(内容に触れています。未見の方はお気をつけください) アメリカに関するドキュメンタリーを二作観ました。 その一本が本作です。 多くの証言に基づいた、フィルムに弛緩したところのない、とてもよくできたドキュメンタリーです。 《あらまし》 クラウス・…

店長さん

毎日暑いですね。 最近、普段はあまり行かない駅の近くのファミリーレストラン行くことがあります。 時間によっては、待つ人もいて、奥の厨房に長く、禁煙、喫煙席100席ほどはいつもかなり埋まっています。 食事の料金は決して安くはないのですが、この炎天…

『ミトン』『チェブラーシカ』監督:ロマン・カチャーノフ@渋谷:シネマアンジェリカ

『崖の上のポニョ』はまだ観ていませんが、ジブリ美術館でも公開中の五十年ほど前のロシアの国民的アニメ,ロマン・カチャーノフ監督のパペットアニメ二作を観ました。どちらもかわいくて、そのけなげさに打たれます。 ミトンのポストカードやチェブラーシカ…

夏うさぎ群れて駆けゆくさみどりの滑走路につづく草原の波 日没のあわい静かに融かしつつ古き鉄棒夏草に埋もれつ 驟雨去り廃園に風立ちぬ濡れ縁に落ちるハナモモの音 夏帽の飛ばされてゆく幹線道路母の意識は朦朧とせり #ゼリーの風 PHOT BY MS.BEE

『オスカール大岩:夢みる世界展』@東京現代美術館

(タイトルにアクセスすると公式サイトにアクセスします) 展覧会のチラシの絵を実際にみたくて、行きましたが、予想を上回る刺激的なスケールの大きな作品群。 お花畑のようにみえたものは、はるか眼下に遠景として、夜の都会のビル郡、その上空を浮遊する…

『岡鹿之助展』@ブリジストン美術館

(タイトルをクリックすると、公式サイトにアクセスします) 変電所や灯台、城、教会、掘割、パンジーなど、静謐な時間を感じさせる岡鹿之助の絵に心魅かれていました。 その多くが雪の風景で、時間が止まったような、具象でありながらどこか現実離れした絵…

『アンドルー・マンゼ(バロック・バイオリン)&リチャード・エガー(チェンバロ) デュオリサイタル』@武蔵野文化会館

チェンバはソロで聴くのは辛く、古楽器の音色は物足りなさを感じることが多いのですが、バッハを主にしたデュオのプログラムだったので行ってみました。 バッハを期待していったコンサートでしたが、二部で演奏したビーバーの二曲がすばらしく、二枚組みのビ…

『アメリカばんざい』監督:藤本幸久

(タイトルをクリックすると公式HPにアクセスします) 藤本監督は『Marines Go Home〜辺野古・梅香里・矢臼別』のドキュメンタリー作家。 7月26日からポレポレ東中野で『空想の森』『Marines Go Home〜辺野古・梅香里・矢臼別』と三作品一挙公開。 心の傷…

捨てし鞄を拾いきて朧月アマゾンのとけい草もねむるらし 彎曲する日常劣化するリアル骨粗鬆症は治せますか #マタ登ッテ・・・ PHOT BY MS.BEE

政治の目指すところ

BIN★さんの日記をきっかけに下記の番組をみました。 海外の政府の裏舞台ともいえる取材やプログラムができたということにも感心します。 日本のKY外交にはうんざりです。 関心のある方は下記からどうぞ。 NHK クローズアップ現代 動画 「ノルウェー“小国”の…

飼い犬は家々のリビングにいて 雨に濡れる犬をみず 音叉のように雨はふり うつくしく老いることなど考えている 雨といふ誠実に白い傘を開く午後砂のこぼれる音はして 五月の光滴たるるヒメジョオン一木一草曠野の野に #下ッテ、PHOT BY MS,BEE

ETV特集再放送

NHK教育TV 『痛みが美に変わる時〜画家・松井冬子の世界〜』 6月21日(土)午前1:00〜2:00 【6月20日(金)深夜】 4月20日に放送されたETV特集を何気なくみていて、とても面白かったので、未見の方はぜひ。 若い女性の描く日本画の世界。 創作現場。 松井冬…

『JAPAN ROCK BAND FES.2008 新しい歴史が始まる日!』@日比谷野外音楽堂

5月18日、頭脳警察が出演するというので、日比谷野外音楽堂に行きました。 頭脳警察のコンサートを聞いたのは、○十年ぶり。 かつて、一度だけ渋谷音楽堂で。 頭脳警察目的だったわけではないのに、そのときの衝撃・・・。 頭脳警察をご存じない方は幻想音楽…

JOKE

友人の送ってくれた英語の小噺です。 お暇な方は、どうぞ。 LOOKING FOR WORK A Japanese doctor said, 'Medicine in my country is so advanced that we can take a kidney out of one man, put it in another, and have him looking for work in six weeks…

『靖国』監督:李纓@ミネ・アミューズ

前半一部眠ってしまいました。(^−^; しかし、映画の意図は一貫しています。 タイトルは『靖国神社』ではなく、『靖国』であることに注目するべき。 靖国、とは何なのか? 靖国神社を通して、日本人の『靖国』を考える。 そういう問いかけに思えました。 …

[映画]『パラノイド・パーク』監督:ガス・ヴァン・サント@シネ・セゾン

久しぶりに映画をはしごしました。 『アイム・ノット・ゼア』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』『愛おしき隣人』『パークアンド・ラブホテル』『タカダワタル的ゼロ』『ソビエトアニメ劇場』など、今見たい映画がたくさん。 『靖国』に朝10時半に行って、1時…

シネマの可能性

映画の内容に触れています。 未見のかたはお気をつけください。

[映画]『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』監督:若松孝二@テアトル新宿

3時間10分。 これだけの緊張感を持続させる映画はめったにない。 この映画は傍観者でいることを許さない。 なぜ、革命を志すものたちが、仲間の総括、処刑、リンチへと向かって行ったのか。 力によって生が収奪される状況に、右も左も革命闘争も宗教も国家も…

五月の歌は歌わざりき鉄線の花挿したしとおもう窓辺のあり 草萌えの朝の気配はそっと頬をなで睫をゆらす夢のまにまに

『アニー・リーボヴィッツ〜レンズの向こうの人生』監督:バーバラ・リーボヴィッツ

数々の写真。 撮影現場の臨場感。 被写体となったひとびとのコメント。 写真に興味のある人なら、とても面白くみるはずです。 ジョンがアパート前で殺される数時間前に撮られた、ジョンとヨーコの写真。 デミー・ムーアの妊娠中のヌード写真。 この衝撃的な…

肉体の挫折

昨日も寒かったですが、 スペインから帰って、ゆり戻しの寒さに風邪をひいてしまい、しかも旅行中に届いていた無添加の生そばを、もったいないので食べたら、それが大当たり。 冷や汗は出るわ。苦しいわで一晩うなってしまいました。 冷蔵庫に保存しているか…

[詩・短歌]聖週間&聖家族

「どうして、男に生んでくれなかったの?」言いし娘は二十歳になりて 白い『グラジオラス』闇に光り画布に眼光を残す イベリコ豚ぎゅうづめトラック追い抜いてゆくコスタ・デル・ソール聖週間 神の子の遊びしままに泥をつむサグラダ・ファミリア教会