『オスカール大岩:夢みる世界展』@東京現代美術館

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展覧会のチラシの絵を実際にみたくて、行きましたが、予想を上回る刺激的なスケールの大きな作品群。
お花畑のようにみえたものは、はるか眼下に遠景として、夜の都会のビル郡、その上空を浮遊する白昼夢のような花々。


彼の眼は現実を描きながら、現実を超える想像力を喚起させることに向かっているようです。
路地裏や廃屋、ガラクタ、廃墟、工事現場、戦場や世紀末を思わせる風景など。
破壊されたもの、朽ちてゆくもの。


「エイジアンドラゴン」は水上に並びたつ家、小船、蛇行して停泊している運搬船が竜のように垂直に降りしきる雨に閉ざされています。
「野良犬」は森山大道の写真「野良犬」を想起させますが、モノクロームの野良犬を前景に背後には俯瞰した都市、工事現場。浮遊する花々。
「ファイアーショップ」は万国旗を掲げた植木鉢の火を売る店、その背後に、戦場や爆風で破壊される街並み。
これら2m ×3mほどの大作が並び、巨大な潜水艦のような鯨や等身大の骨、旺盛な創作力とエネルギッシュな筆力を感じさせます。


彼の絵が、まんがやアニメなどのサブカルチャーの影響を受けているということは、容易に想像がつきます。
犬、猫、うさぎ、カラス、小動物やネッシーまで動物が描かれているのもおよそアカデミズムから遠い。
報道写真などをコラージュするように下絵をつくる創作過程は興味深いものでした。


オスカール大岩は、1965年サンパウロ生まれの日系二世。
もともとは建築工学が専門で、システマティックなものへのこだわりも強いことが伺われます。
サンパウロ、日本、ニューヨークと創作現場を移しながら、長期的なプロジェクトの構想もあり、アートマーケットにも関心があると、上映されたビデオで自ら語っていました。
これから、どのように想像力を喚起させてくれるのか、興味深い作家に出会ったと思いました。






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