『アンドルー・マンゼ(バロック・バイオリン)&リチャード・エガー(チェンバロ) デュオリサイタル』@武蔵野文化会館


チェンバはソロで聴くのは辛く、古楽器の音色は物足りなさを感じることが多いのですが、バッハを主にしたデュオのプログラムだったので行ってみました。


バッハを期待していったコンサートでしたが、二部で演奏したビーバーの二曲がすばらしく、二枚組みのビーバーのCD『ロザリオのソナタ』4600円也を買ってしまいました。
ふたりのCDは数々の賞を受賞しているそうですが、この類まれな美しい曲がただその美しさだけではなく、祈りのひたむきな強さを宿していることを感じさせる演奏でした。
赤い薔薇の装丁のジャケットもしゃれています。


なぜ、薔薇か、
ロザリオは数珠のことを言いますが、聖母マリアへの薔薇の花冠に捧げられる祈りがロザリオであり、その祈りを唱えた数を数えるのに使う数珠をロザリオというそうです。


『ロザリオ・ソナタ』について調べてみました。
バッハの生まれる10年近く前ハインリヒ・イグナツ・フランツ・フォン・ビーバー(Heinrich Ignaz Franz von Biber、1644年8月12日 - 1704年5月3日)により1676年頃に書かれたと言われています。


ビ−バーは彼の生まれる約100年前にイタリアで完成した「ヴァイオリン」の技巧にすぐれ、宮廷音楽長を務め「恐るべき巨匠」と言われたヴァイオリニストであり作曲家です。


ロザリオ・ソナタは、15のロザリオの祈りに添える15の通奏低音バロック時代の伴奏法)つきのソナタと、守護天使の祈りに添える無伴奏パッサカリアの16曲から成り、第1曲と第16曲の二曲では通常のヴァイオリンの調弦を用いますが、あとの14曲は、それぞれ別々の信じられないような調弦が指定されているそうです。
ビーバーは一曲一曲、音調を、通常のヴァイオリンの表現を越えて追求したことが、うかがえますが、なぜそれほどまで凝ったのか、ちょっとミステリアスです。


16曲の無伴奏パッサカリアは、たった四個の下降する音階が65回くり返される上に組み上げられているそうで、バッハのシャコンヌに影響を与えているのは確かでしょう。



プログラム
・J.S.バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタBWV.1015
・A.コレリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタイ短調op.5-7
・J.S.バッハ:プレリュードとフーガ変ホ短調BWV853(チェンバロソロ)
・G.パンドルフィ:ラ・チェスタop.3-2
         :ラ・サッバティーナop.3-6
・H.I.Fビーバー:ロザリオのソナタ第一番「受胎告知」
・J.Sバッハ:半音階的幻想曲とフーガニ短調BWV.903
・H.I.Fビーバー:ソナタ 第三番(『八つのソナタ』より)


アンコール曲
ヘンデル:ソナタヘ長調アダージョ
・バッハ:ソナタBWV.1019[アレグロ