『机のなかみ』監督:吉田恵輔『あしたの私のつくり方』監督:市川準

azamiko2007-05-30

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少女の映画を2本みました。
どちらの少女もまわりに気を遣いながら生きている。
自分の気持ちをまわりに気づかれないように、あふれ出さないように。
こころにしまって。
それでも、しまいきれなくて、あふれ出してしまう。
それが痛ましくもあります。


机のなかみ』監督:吉田恵輔


関係が面白く描かれている。
キュートな女子高生(鈴木美生)と父との関係が面白い。
トンチンカンな家庭教師(あべこうじ)と同居人との関係も面白い。
この映画には母親が登場しない。
母親がいないことがなぜなのかということも語られない。
家族を戯画化しようとしているのか、父親は娘への愛着の滑稽な役回りとして登場する。
風の吹くベンチで、少女のことばに自分の気持ちを返す少年の口ごもりがいい。


同じ時間を高校生からと家庭教師から同時並列的に描いている。
映画を観るということはカメラの視線をなぞっているということだ。
多面的な視線はいつも隠されている、そのことが暗示されている。
予定調和ではない裏切らせてくれる映画。★★★★


あしたの私のつくり方』監督:市川準


成海璃子 はいい演技をしている。
映画の中の少女が成長して行くように、どんどん魅力的になっていく。
「演技」と言ったように、映画の世界のお話であると意識させる作品でもある。
かといって、それがよくないと言っているわけでもない。
少女たちの息苦しい日々にリアリティーを感じるからだ。
そして、それでもあしたの私をつくってゆこうとする少女たちはいるのだから。★★★☆