建石修志展『本に微垂む。或るいは、紙に浮かぶ夢』

azamiko2005-11-02

だいぶ時間がたってしまいました。29日(土)は国立フィルムセンター成瀬巳喜男生誕100周年特集の代表作『浮雲』を観に行くも、満席で入場できず。5分前では無理かなとは思ってはいたんですが。30日で2ヶ月以上開催していた成瀬巳喜男特集も終わりました。私の後からも、ガッカリして帰る人が多かった。しかたなく、京橋から銀座まで歩く。
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青木画廊で開催中の建石修志展『本に微垂む。或るいは、紙に浮かぶ夢』最終日。20日にも一度来ている。青木画廊での建石さんの個展は2年ぶりとのことだが、作品数も多く、作品の内容も、精力的に描かれたのが窺える。特に、10月に発刊された『虹の獄、桜の獄』に描き下ろした8作品からは、竹本健治とのコラボレーションに精力を注いだというのがわかる。
以前に比べ、色の明度が高くなってきているのだが、20日に観た時には、いろんな色との混濁した明るさが俗っぽく感じられて、好みではないと思っていたのが、むしろ、俗っぽく感じたその明るい色の混濁がレトロな雰囲気を醸しだしていて、なんだかいい。観ているうちに、むしろやみつきになってしまいそうな気がしてきた。 不思議な色調だ。しかし、一般的にはあまり受け入れられないのではないかと思う。
建石さんといえば、うっすらと靄がかかったような、古い書庫に埃をかぶって置かれた古い絵のように蒼みがかった透明感を感じさせる落ち着いた色調と鉛筆画。幻想的な絵を好む人の多くは、その不穏な静謐さに弾き付けられるだろう。この明るい色の混濁は何を意味しているのだろうか。今回の展覧会では鉱物的なもの、機械的なものも少なかった。興味の対象が変わってきたということなのだろうか。
色といい、モチーフといい、建石修志が、どのような変遷を辿るのか、観て行きたい。