弥生美術館、竹久夢二美術館


〇『生誕百年記念『竹中英太郎と妖しの挿し絵展』 〜エロティシズムとグロテスク・・・闇にきらめく妖美の世界〜』美は乱調にあり、生は無頼にあり―幻の画家・竹中英太郎の生涯


2歳で、父をなくし、貧しい生活の中、子どもを家において、働きにいかなければならなかった帰りのおそい母を待ちわび、暗い家の中で幼い英太郎はどんなだっただろうか。
映画の看板や広告を真似て書きはじめたという独特のイマジネーションによる構図、表現。
闇のなかの幻視の世界は幼いころに源があるだろうと思う。


「あやかしの鱗粉」「熟れた果実」「探偵趣味 表紙」・・・etc
デートリッヒが竹中労(英太郎の長男)のプロデュースで来日した時のポスターに使われた「あやかしの鱗粉」。
ホテルの部屋に貼られたこのポスターを離日する時にデートリッヒは英太郎の描いた肖像画とともにはがして持ち帰ったという。


弥生美術館と竹久夢二美術館、隣接するふたつの美術館は1984年に鹿野琢見という好事家の長年の夢を実現して建てられた。
立派でも、おしゃれでもない小さな美術館(シツレイ)ですが、年代とともに埋もれてしまいがちな明治、大正、昭和と雑誌の挿絵などで活躍した作家たちの大衆芸術といわれる作品が熱心なファンによって、この、ちょっとうらぶれた美術館に大切に保存されていることにしばし、感動。


弥生美術館建設のきっかけとなった「さらば!故郷よ!」をはじめ、高畠華宵の美少年・美少女の絵は常設展示されていて平安朝の衣冠束帯姿が似合いそうで美しい。
それらのほか「サロメ」「願い」、橘小夢、内藤良治などビアズリーの影響の強い作品。
当時アールヌーヴォー、アール・デコの与えた影響が強かったことが伺えます。


衝撃だったのは伊藤彦造という天才絵師の存在。伊藤彦造イラストレーション 〔新装版〕
「角兵衛獅子」「阿修羅天狗」などの臨場感あふれる絵に血が逆流しそうになりました。
彼は幼いころから父から剣道の手ほどきを受け、真剣で切られても大丈夫のように実際に肌を切られるという鍛錬を受けたとか・・・
今なら児童虐待ですね?(^-^;



内藤良治、橘小夢、石原豪人岩田専太郎などの気になる作家たちの作品も。


〇『竹久夢二 音楽デザイン帖  〜抒情のリズム、大正ロマンの調べ♪〜展』
夢二デザイン (Art)

夢二は「宵待ち草」をはじめ24曲作詞し、レコードジャケットのデザインなども手がけています。夢二の音楽にかかわる仕事にスポットを当てた企画展。
美人画で語られることの多い夢二ですが、デザイナーとしても人気があり、彼のデザインした手ぬぐいなどの小物は、環(妻)の店では生産が追いつかないほどだったとか。


BEEさんご推奨、お散歩の達人による弥生美術館、竹久夢二美術館からの正しい歩き方(?)


弥生美術館→東大構内→生協→三四郎池→安田講堂→東大赤門→本郷菊富士ホテル*1跡→石碑→地下鉄駅。


このお散歩コース、あとから教えていただいたので、歩いていませんが、次回は是非に!
美術館は、根津駅から6〜7分、近くに立原道造記念館もあります。
本郷菊富士ホテル*2は夢二が逗留していたホテル。
文学散歩もできます。




【コメント関連URL】


文学ホテルへようこそ 〜ホテル小説への誘い〜
本郷菊富士ホテル/近藤富枝著


彷書月刊12月号の特集「途をいずれに 生誕百年竹中英太郎」

*1:本郷菊ホテルと書いていたのを訂正しました

*2:本郷菊ホテルと書いていたのを訂正しました