亀も空を飛ぶ監督:バフマン・ゴバディ

azamiko2006-03-27

(映画の内容に触れています。未見の方はお気をつけください)
東京では去年の9月に公開されて、秋に観ています。
実は去年観た映画の中で一番印象に残った映画でした。
そのことをいつか書こうと思いながら、書かないまま、書けないまま来てしまいました。
最近、沖縄で上映されたそうで、その感想をアンテナにリンクさせていただいているばるタンさんのブログ「犬と歩けばゴミを拾う in 沖縄」で3月25日に書かれていて、スコーンと澄み渡った沖縄の青空と同じようなイラクの空の下で生きる子どもたちに共感したばるタンさんの率直な気持ちがいいなあと思いました。

映画はクルド出身のイラン人監督バフマン・ゴバディイラク戦争真近のイラクのこどもたちを描いた映画です。
安全な地を求めて村にやってきた盲目の幼子を抱えた両親のいない兄妹ヘンゴウとアグリン。
頼もしい兄のヘンゴウには両腕がありません。
地雷を掘って、国連の出先機関に売って生活しています。
村の子どもたちやそのリーダーとの子ども同士のダイナミックな関係がとっても面白い。


なぜ書けなかったか。
イノセント・ボイス〜12歳の戦場』にしても『白バラの祈りゾフィー・ショル最期の日々』にしても『ヒトラー〜最後の12日間』にしても、どこかで自分の責任を回避できる映画だったんですね。
どれも過去の話であり、今責任を問われることはない。(と思える)
でも、『亀も空を飛ぶ』はそういうわけにいかないんです。
兄妹の抱える困難は、映画でありながら、現実そのままであることは容易に想像できます。


こんなことで書けないなんて、可笑しいですよね。
自分がその現実を生きてるわけでもないのに。
この現実を生きているのは彼らなのに。
彼らにこそ元気づけられています。
この映画の結末が悲惨であるにもかかわらず。



亀は重たい甲羅を背負って生きる子どもたちの喩えとのこと。





大国魂神社のしだれ桜(府中)