舞踏『最後の晩餐』〜死の舞踏

azamiko2005-12-26

近くの大学の身体表現ゼミで吉本大輔さんの主宰する舞踏を観に行った。
郵便局に寄っていたら、年末でだいぶ待たされ、遅くなってしまったけれど、現代の舞踏シーンを垣間見ることができた。
吉本さんは聖母マリアマグダラのマリアを演じ、他12名の『最後の晩餐』は個々のイメージで即興的に繰り広げられた。(実際は12名いなかった?)
この寒風吹きすさび中を、スタジオから屋外へ飛び出し、吉本さんは構内を白塗り、緋色の着物だけを纏い、全裸に近い姿で竹馬で闊歩、強風に吹き飛ばされないかと心配になってしまったけれど、予想もしない展開に写メールしてしまった私であった。
最後は再びスタジオに戻り、ノイズの中、屍累々となって果てた。
吉本大輔さんは現在64歳、大野一男、土方巽、田中 泯などの舞踏をプロデュース、40歳ではずみで舞踏をはじめとか。
日常の空間を非日常に塗りかえ、時間の長さ、流れを変えてしまうような表現が彼の舞踏なのだと思う。
白塗りしていて素顔はわからないけれど、ちょっと天本英世みたいな風貌。
若い女性のお弟子さんたちを「ボクのともだち」と言って、とてもかわいがっているようだった。弟子というより仲間という感じなのかもしれない。
日本では路上で演じることは、まずできないという。


舞踏という言葉からはガイコツが行列していたり、晩餐をしていたりする『死の舞踏』の絵を思い出す。
死んでしまえばみんなガイコツ。身分も貧富もなく。
背景には、14世紀ヨーロッパで大流行したペスト、100年戦争があったという。
この死生観は『メメント・モリ(死を思え!)』という言葉と不可分である。


吉本さんの舞踏は確かに『死の舞踏』を思わせるものがあった。


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