庭園植物記展@東京都庭園美術館

azamiko2005-11-13

9月3日から11月6日で会期を終わりましたが、企画の面白さを記憶に留めておきたいと思います。
10月13日(木)は〜花を奏でる〜ということで、ヴァイオリンとピアノ(伴奏)のミュージアムコンサートがあり、ピアノをやっているSさんと。演奏者の小寺翔子さんは東京音楽コンクールの入選者で大学生。都の美術館、博物館などでは、将来有望なプレイヤーに演奏の場と機会を与え、育成しようとしているようだ。シューベルトの<<しぼめる花>>の主題による序奏と変奏曲、ラベルのツィガーヌなど、約1時間、ツィガーヌが特によかった。日本の演奏者のレベルの高さにあらためて驚く。
2回目は文化の日11月3日。うららかな秋の日の午後Kと。
展覧会は植物の姿がどのように表現されてきたかをテーマに、写真、日本画、いけばな、植物学、生活等多彩な花の捉え方だった。
今回印象的だったのは、
・いけばな作家中川幸夫の作品を写した写真。血を滴らせた肉塊のようにみえるのはガラスの器に詰められた赤いカーネーション900本『花坊主』。鋭利に尖った一枚の花菖蒲の葉と赤いチューリップが石(石灰岩)に活けられている『怒り葉』。散る寸前のチューリップの山『魔の山』。花汁の飛び散った多量の赤いカーネッションの残骸の上に置かれたBOOK状のガラスの板『聖なる書』。とてもいけばなの概念では捉えられない作品だった。
・写真家東松照明の花は以前インドネシア(?)旅行中に毒きのこゴールデンマッシュルームを食べた時に見た幻覚を再現したものだとか。カラフルで、メロディアス、ポップなモダンアートだった。
東松照明といえば、広島や長崎などの写真を思いおこす社会派の写真家というイメージがあったが、このゴールデンマッシュルームの一連の作品で造形作家であるということを強く感じた。
・植物学的なアプローチから、南方熊楠のキノコを克明に描いたスケッチがあった。それはスケッチというにはあまりにリアルで丁寧で、なおかつ細かい英文で几帳面な説明がびっしり付されていた。他にも植物学者の描いた写生があったが、写真というものが一般的でなかった時代に、克明に描こうとする学者の植物に対する探究心と愛情とが切々と伝わってきた。
高橋由一文久年間に描かれた色彩、造形的に写実的な花。明治の杉浦非水のアールヌーヴォー風の花もとても美しかった。
荒木経惟の花の最盛期を鮮明に接写した『花曲』のシリーズやモノクロームの枯れて、萎んだ花の陰影の濃い作品『死情』。
画面いっぱいの花の写真が一面に貼り巡らされた部屋に入ると芳しい花々の花芯に顔をうずめている昆虫になったような気がして来た。




#ジラフ  ウォルターロータン作@庭園美術館


【コメント欄関連URL】

日本語で唄う「冬の旅」歌:斎藤晴彦 ピアノ:高橋悠治 
http://www.suigyu.com/winterreise.html

『帝国と暗殺』〜ジェンダ−からみる近代日本のメディア編成  内藤千珠子 新曜社
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9980103256

大西巨人『春秋の花』〜秋山清
http://www.asahi-net.or.jp/~hh5y-szk/onishi/shun-77.htm
秋山清〜詩集『断片』について
http://www.ocv.ne.jp/~kameda/hagiwara-danpen-akiyama.htm


長井勝一漫画美術館」
http://www.freefactory.net/~nagai/index.html

五十嵐大介」『魔女』と『リトル・フォレスト』
http://www.mangaoh.co.jp/topic/igarashi.php
http://plaza.rakuten.co.jp/ekatocato/3010

石川啄木の年表
http://www.ocv.ne.jp/~kameda/ishikawa-chronicle.html

和田久太郎
http://www.ocv.ne.jp/~kameda/wada-renai.html