オートバイ少女(監督:あがた森魚)

azamiko2005-10-08

ガロに描いていた鈴木翁二と言ってもご存じない方の方が多いのではないかと思う。
私も鈴木翁二が描いていたほんの最後のほうを知っているだけなのだけれど。今まで機会があったのに、原作のイメージを壊したくなくて映画を観ていなかった。ビデオショップで偶然見かけて借りてみた。短編の原作を鈴木翁二あがた森魚山本じんによる脚本。監督、あがた森魚。主演、石堂真央(みのる)、あがた森魚(父)。オートバイ少女 [DVD]


すご〜くよかった。私の好きな翁二の描く少年は出てこないけれど、間違いなく、私好み。あがた森魚の第一作「僕は天使ぢゃないよ」もみたい。お話の内容は至って簡単。幼い母とみのるを捨てた漫画家の父を探してオートバイで函館へ。父は映画館の撮影技師をしていた。妻との間には女の子もいて・・・。オートバイ少女
主人公の少女みのるの石堂真央がいい。表情がいい。父との会話がいい。あがた森魚のおしゃべりも表情もすごくいい。映像がまたいい。風景がいい。カット、カットがそれぞれ絵になっている。原作とはぜんぜん違うけれど、というより原作は短編でこういう展開は予想できなかった。いかにも鈴木翁二の劇画的な絵やセリフが随所にあり、大満足。あ〜観てよかった。僕は天使ぢゃないよ [DVD]

北海道へのロードムービーといえば、少し前に公開された若松孝二の『17歳の風景』が思い出される。両者の映画の決定的な違いは、物語の終結に至って、明日を獲得できるかどうかということではないかと思う。17歳の少年はあまりに痛ましくやりきれない。
この映画のプロローグには鈴木翁二も出演している。詩を朗読。彼の声とみのるの声が重なってゆき、現実とフィクションの世界は繋がっている構成になっている。父は鈴木翁二、その人でもあるだろう。しかし、これもフィクションかもしれない。
彼の描く絵のままに帽子を被った風を孕むトレンチコートの後姿がなつかしい。少年が夜になるころ (珈琲文庫 (4))
〜トランスヒマラヤゆくひとは、夜風遣いのひとさらい。
ガロ執筆当時は破滅的な印象で半ば伝説化されていた記憶の鈴木翁二。去年の秋に偶然阿佐ヶ谷の小さなカッフェバーでライヴがあるというチラシを見て出かけてみたら、汗ばむ季節もとうに過ぎ、秋も深まった頃だというのに、今仕事から帰ってきたよというような半袖のTシャツ、帽子、首にタオルを捲いてすっご〜く健康的でいいおじさんだった。何だかちょっとイメージが違う。でも、あの、人の心の奥底までのぞいてしまいそうな目は昔と同じだった。といっても、ガロに掲載されていた写真でしか知らなかったのだけれど。朗読、歌、ギター、ハーモニカ、歌・・・。夜の路地の間口の小さなカフェはいっぱいで。CD『未明ーよあけーの歌』に丁寧なイラスト入りサインをしてくれた。
ところで、脚本を書いたひとり山本じんという人は人形作家で豊満な女性をかいているあの山本じんさんなのだろうか?



【コメント関連URL】
バロン吉本
http://www.technogallery.com/nec-c-site/omoshiro/manga/sakka/baron00.html
古田大次郎
http://www.ocv.ne.jp/~kameda/furutadaijiro.html

硫黄岳〜天狗岳八ヶ岳連峰
http://www5e.biglobe.ne.jp/~hiroshi/5tomari9.html
北八ツPHOTO GALLERY
http://members.jcom.home.ne.jp/isii10/gallery.html

『大虐殺』
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD28457/

映画と夜と音楽と… BY十河進さん
http://www.dgcr.com/cgi-bin/backnumber/back.cgi?mode=right&year=2004&month=7&day=30

2005年山梨県生涯学習推進センターの講座
http://www2.manabi.pref.yamanashi.jp/center/linkhtm/17yamahtm.htm

戸川純のCD
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