封印されたベートーヴェンチェロソナタ3番

azamiko2005-02-11

今はヨーヨー・マの『オブリガード・ブラジル』を聞いていると友人が書いていたので、久しぶりに、ヨーヨー・マのCDを聞こうかと探したけれど見つからない。見つからないとどうしても探し出したくなって、あっちこっち探していたら、封印していたことのあるチェロソナタが出てきた。
もう、ずいぶん前の話だが、来る日も来る日もベートーヴェンチェロソナタ3番を聴いていたことがある。そして、ある日、ふと、こんなに毎日聞いていて、いつか、聞き飽きてしまったらどうしよう。嫌いになってしまったらどうしたらいい?そのあと私はどうなってしまうの?と無性に不安になって来た。なんにもなくなって、干からびてしまうかもしれない。今考えるとおかしいくらいの強迫観念。そして、したことといったら、聞き飽きてしまわないよう、嫌いになってしまわないうちに聴くのをやめてしまうことだった。なんか、変ですね(笑)。でも、不思議に、躊躇なく、封印してしまったのです。おかしな話ではありますが。でも、誰にだって、大事なものはそっととって置きたいという気持ちってあるでしょう?
しかし、不思議なことに、聴かなくてもメロディーが甦って来ます。熱く、うなるチェロ、畳み掛けるように追いかけるピアノ。チェロの伸びやかさやピアノの煌きや・・・。とくに、第二楽章のスケルツォ。う〜む!どうしてこんなに、すばらしいのでしょう!

ベートーヴェン : チェロ・ソナタ全集

ベートーヴェン : チェロ・ソナタ全集

これがロストロポーヴィッチリヒテルによる1961年にイギリスで録音された特筆すべき名演奏であることはいくら強調してもしすぎることはないでしょう。
で、封印が必要なくなったのはバッハを聴くようになってからなのですが、この3番が好きなのは今も変わりません。聴くたび、何ともいえない胸の高鳴り、昂揚感を覚えます。でも、かつて毎日、何回も聴いていた時の感覚とは少し違うようにも思いますが。なにしろ、あの頃は鬱屈していました(笑)ムンクが好きだったのもあの頃。