『釈迦内柩唄』

昨晩は神谷町の光明寺に一人芝居『釈迦内柩唄(しゃかないひつぎうた)』を観に行った。
S子さんに誘われたからなのだが、ちょっとどうしようかと思っていた。気が重くなりそうな気がしたからだ。ただでさえ、暗い気持ちになるこのごろ、これ以上、気が塞ぐことは避けたい気分。
一人芝居を演ずる有馬理恵さんはこの作品をライフワークにしているという。そのことが気になってやはり行くことにした。事前に光明寺に問い合わせたら、キャパ以上の予約が入っていると言う。早く行くつもりだったが、やっぱり、着いたのは開演時間7時を回っていた(^-^;
入り口のふすま風ガラス戸が開け放しになってお堂からあふれそうになっているところから、中をのぞく。真正面が舞台で始まったばかり。後から来る人もいて、戸は開放され、冷たい風を受けながら観た。後ろに椅子に乗って観ている人も。
約70分、飽きることがなかった。観にきてよかった。
暗い重い気持ちになるものではなかった。ユーモラスで明るく、強い気持ちにさせてくれる。
恵理さん、これからもがんばってくださいね!
公演を教えてくれたS子さんにも感謝。
水上勉原作のこの作品は、秋田県の花岡鉱山の近く「釈迦内(しゃかいない)」という地に住む死体を焼くことを業とする家族の物語です。有馬恵理さん演ずるふじ子は末娘。
くわしく書いてしまうと観る時の面白さが半減してしまうので、これ以上はやめておきますが、若い人は知らないかもしれない、かつて焼き場の仕事は差別の対象であったこと(いまもないといえるだろうか)と花岡鉱山には戦中、日本軍によって朝鮮や中国からたくさんの人が連行され働かされていたということは、この演劇を観るためにも知っておいたほうがいいと思う。機会があったら、是非観てください。

みんな帰って、もう、かたずける人しかいなくなって、S子さんと来るはずでなかなか来ない人(神谷町と神保町を間違えた(^-^;)を受付近くで待っていたら、恵理さんがスタッフを労いにいらした。舞台で感ずるのとは違って、小柄な笑顔のステキな可愛い人だった。