『さよなら ナム・ジュン・パイク展』@ワタリウム美術館〜大いなる遊び

「キャンドルTV」
ろうそく以上にろうそくを語り、TV以上にTVを語る。
古びたからっぽのTVの匣のなかに火をともした一本のろうそく。
炎を揺らめかせながらそこにある。
TVは、遠いものもすぐ近くにあるかのように、映像とみるものとの距離を感じさせない、無意識にさせる装置であるけれど、一本のろうそくのリアリティーは、みるものに、みるということのみるものの現実を感じさせる。

「フィッシュTV」
水槽の向こう側に写るTV映像は男がパフォーマンスしていたり、ダンスをしていたり・・・。彼の表情がアップで写されて、水の中に彼がいるように見える。水の中にいる彼がバーチャルであるのは分かっていることだけれど、とても近く感じる。ダンスがスローモーションのように思えたりする。その映像がほんとうにスローモーションなのか、水槽の中の小さな魚や水草の動きのゆらめきにつれて、映像がスローモーションのように思えるのか、判然としないが、水槽の魚たちの現実感が映像にも現実感を与えているように感ずる。
水槽の中にいるようにも、水槽の向こうからこちらを凝視しているようにも見えるが、同じように向こうからみると、こちらから凝視されているはずだ。


「ボイス」帽子をかむる映像装置満載のロボット:ヨーゼス・ボイスの前で朽ちた木の上に立つコヨーテがコヨーテの声を聞いている。
「TV仏陀」TVに写る仏陀仏陀がみているという作品。みたい・・・(現物展示なし)


彼のドローイングは瀧口修造の作品どうよう、ペンの動きに自らをゆだねた遊びそのもののよう。
衝動に突き動かされた即興的な作品に内なる体温と軌跡とを感じる。


10月9日まで。
会期中なんどでも入館できます。



#銀座の招き猫




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