潮風とトウモロコシ

azamiko2006-07-02

このところも、蒸し暑い日々ですが、30日、17〜8年ぶりに、友人のYさんに会った。
電話や年賀状で近況は知っていたけれど、よく考えたら、もう、17〜8年も会っていない。
平日の房総半島はとても空いていて、引っ越してきてから必要に迫られて乗るようになったというYさんの手馴れた運転で車を走らせながら、家族や共通の友人の話を交わした。Yさんの語ってくれた紆余曲折は、私だったらどうしただろうかと思うと言葉にならないものがある。
車を降りると真夏の陽射し、潮風が心地よく、潮のにおい。魚のにおい。
「ばんや」という地元の取立ての新鮮な魚を料理して食べさせるお食事処は、海の家の雰囲気で、平日でも満席だった。
注文も忘れて話し続けていた。
つみれ汁をそれぞれ、お寿司とかさごのから揚げをふたりで分け合って、食べる。
お刺身も、ひとりで食べれるような量ではないし、丼ものなど頼んだら、てんこもりでとてもじゃないけれど食べきれない。
これは暗いうちから漁をした後に食べる浜の漁師たちの食事だろう。
つみれ汁の中の大根がとりわけいいお味。忘れられない。
おなかが満ちて、海がみたい私を連れて行ってくれたのは、海鳥たちの羽を休める岩井海岸。
スーパーの駐車場に車を止めて、ひっそりとした歩道を陽射しの照り返す街並みを歩いた。
遠浅の海岸は波も穏やかで、粒子の細かい砂浜はギッシリ硬くて、埋もれることなく歩くことが出来る。
緑の濃い島々が蒸気の立つ霞んだ海の彼方に浮かんでいた。
コンクリートの縁に座って、Yさんが茹でて来てくれたトウモロコシを戴く。
取れたての玉蜀黍は黄金色で、甘みがあってシャキシャキした歯ごたえ。
ビタミン豊富の野菜の味がした。日にちをおくと穀物になってしまう。
遠く海からの潮風に吹かれ、座っていると心の澱が澄んでいくようだ。
Yさんの軽やかな明るい、温かい声が、昔と少しも変わらないことに励まされた。