マリンスキー歌劇場管弦楽団@東京文化会館

azamiko2006-01-27

23日は、チケットが廻ってきて、ワレリー・ゲルギエフ指揮、マリンスキー歌劇場管弦楽団によるワグナー『二―ベルングの指環』より管弦楽曲を聴いた。
リヒャルト・ワグナー(1813 - 1883)が26年を費やしたというオペラ『二―ベルングの指環』は、15時間、4夜にわたり、前夜演奏が終了している。
この日のプログラムはいわば都民劇場のオプショナル。
オペラについては4夜を通して観劇されたid:yukari57さんが『雑巾ダイアリー』に1月18日より感想を書かれています。


生ワグナーを聴くのがはじめてのド素人の感想としては、この音楽性をどう表現したら・・・やっぱり、ワグナーって、すごい!としか(^−^;

地獄の黙示録』のオープニング、ベトナムの上空を幾百のヘリコプターが舞うバックに流れた「ワルキューレの騎行」は、私にとって最も印象的な楽曲なのだが、あの曲に代表される狂熱的な壮大さ、構築性に圧倒されずにいられない。
アンコール曲の『ローエングリン』第3幕への前奏曲もすばらしかった。
そして、今回オーケストラの形式をとても意識させられた。
ステージ前面に第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、それらの弦楽器の音が全体を包み込むように奏でられます。
マリンスキー歌劇場管弦楽団の弦の緻密、繊細な響きに乱れがない。その向こうから聞こえてくる管楽器、木管楽器、打楽器の音もずれていない。
音に緩みがないというか、ゲルギエフの指揮が、それだけ、すばらしいということだろう。
『神々のたそがれ』〜「ブリュンヒルデの自己犠牲」はオリガ・セルゲイエワのソプラノ歌唱つき。
表現力はあったが声量が今ひとつ。
上背もあって身体も大きいので、もっと声がでるはずだと思うと残念。


ワグナーの音楽をヒトラーが愛し、ナチスに利用されたことを思うと、音楽のもつ政治性について考えずにいられない。
ワグナーなんて、聴きたくもないというのも理解できる。
反ユダヤ主義者だったワグナーその人を相対化する必要もあるはずだ。
しかし、それでもワグナーの音楽が人の心を揺さぶり、弾きつけてやまないということだけはたしかだ。
音楽にも造詣の深い政治学者の丸山真男氏が嫌いだったワグナーをオーケストラで聴いて以来、バイロイト(ワグナーの歌劇を上演する音楽祭)詣でをしたといわれのも、今さらながら肯ける。
機会があったら、いつか、オペラを聴いてみたい。


ワグナーには男性ファンが多いようで、オペラ『二―ベルングの指環』では男性のトイレがいつになく長蛇の列、同列8人中女性はyukari57さん一人だったという面白いエピソードも。
この日の上演は女性客の方が多かった。
女性の奏者たちが、ステージにハンドバックを持参。
本番であっても、彼女たちにとって、ごく日常的なことのようでなんだか可笑しかった。
マリンスキー歌劇場管弦楽は25日間日本に滞在して、各地で21回も公演するという。
ゲルギエフもオーケストラもほんとうにタフだ。


以上は、ド素人の感想ですので、みなさまのご感想をお待ちしております☆