『福島泰樹短歌絶叫』@スターパインズ・カフェ

9日土曜日は吉祥寺スターパインズカフェ『福島泰樹短歌絶叫35周年記念コンサート第3弾、寺山修司23回忌追悼/望郷』に行きました。開演時間前に来れば座れるといわれていたので、7時10分ほど前に着いたけれど、すでに、ほとんど席はなく、ホールの一つだけ空いていた席を友人と譲り合っていたら 、スタッフの人がゴンドラ席を案内してくれた。ゴンドラのように天井にぶら下がったような5名定員の特等席(?)。ひとまず、座れてほっ!
天井桟敷から見下ろすようにステージを見る。葬送の歌
誰か故郷を想はざる (角川文庫)

ライヴハウスがはじめての友人は非常口を探していた。私もはじめてここに来たときはそうだったなあ。なれとは恐いものです。楽屋口、ステージにも脱出路はあるのではないか、心配する友人のため、スタッフに聞くと、入ってきた入り口しかないという。万一の時のことがちょっと心配になる。押し合いへし合い、とてもじゃないけれど、ここから出口はもっとも遠い。それでも、なぜか、守護霊に守られていると信じている人なので、忘れることにする。
会場は、年配の人から若い人までさまざまだけれど、若い女性がかなり目立つ。隣の女性も福島さんの授業を受けているという早稲田の学生さんだった。予定時間を過ぎて、トレンチコート、つばの広いソフト帽、手には紙の束(原稿)をもった福島泰樹
ピアノ、アコーデオン永畑正人、尺八、横笛菊池雅志、ギター勝呂和夫、ドラムス石塚俊明の織り成すリズムにのって、激しく始まった。知る人ぞ知る、ギター、ドラムスは日本ロックの草分け、元頭脳警察のメンバーだ。このサウンドあっての短歌絶叫ではないだろうか。
頭脳警察’73 10.20 日比谷野音“聖ロック祭”

岸上大作、寺山修司中原中也、春日井健、小笠原賢二塚本邦雄宮澤賢治etcについて、今年に入って、次々死んでいった故人についてのエピソードと詩、短歌などを詠み上げるというか謳いあげるというか。ボクシングの好きだった寺山修司に捧げる元ボクサー本多幸一*1さんによるシャドウボクシングもあった。「歌人であって絶叫歌人ではない」と絶叫歌人といわれることに嫌悪を示しておられた。前日までぎっくり腰だったとか、今日は寝ながらやるつもりだったとはとても思えないくらい何度も飛んでいた。
僧侶でもある福島さんは、いつも死者と向きあっているだろう。死者は闇にまぎれてライヴハウスの影に溶け込み、福島さんの傍らに立っているようにも思える。
友人は、この深い思慕をもった言葉と音楽とに触発されたようだ。感受性豊かで、明るく、才気に満ちた、なに不自由のない境遇に、思いもよらない辛い思い出があったことをはじめて知った。



#吉祥寺界隈

*1:分からないので当て字です。ごめんなさい。ご存知の方教えてください