[社会]『ヤカオランの春』〜あるアフガン家族の肖像

アフガニスタンの首都カブールに近いパキスタンペシャワールのアフガン難民キャンプの教師アリ・マクバルが子どもたちに語る自らの経験と家族のドキュメンタリー。監督:川崎けい子
虐殺を奇跡的に逃れ、パキスタンにやってきたアリ・マクバルは村の男たちの殆どが殺されたときに受けた傷の後遺症から、視力が衰え、教師を続けていくことに不安を覚える。ある日子どもたちを前にアフガニスタンの歴史や今までの経験を語り始める。
胸の奥に秘めていたことも最後だという思いがあったから、自分を偽らずに語ろうとしたのでしょう。いかにして虐殺を逃れたか。女性をお金で売買することについて。いつか、子どもたちが帰って行く故国アフガニスタン。難民キャンプには年代の違う子どもたちが一緒に机を並べています。小さな子どもには少しむづかしい話しだったかもしれません。でも、年長の生徒にとって、一言一句聞きもらすことのできないものだったはずです。その真剣なまなざしがすべてを語っていました。
難民キャンプでは娘たちは、ブルカを纏うことなく、教育を受け、快活に話しています。とても生き生きしていて美しい。しかし、今も残る因習によって、女性たちはひどい扱いを受けていることを『DAYS JAPAN』6月号で読んだ。中でも驚いたのは、

ジルガ(部族年長者の協議の場)などによる非公式の裁きの場では、殺人事件が裁かれる場合、加害者家族から被害者遺族に、通常、16歳以下の少女を賠償として、引き渡すよう命じられる。こうして引き渡された少女は、被害者遺族の男性と強制結婚させられ、いじめぬかれ悲惨な人生を送るという。これは、バドとして知られているアフガニスタンの因習で、アムネスティー・インターナショナルも8歳と15歳の少女が引き渡された例を確認している。

女は男の所有物。暴力があったとしても女性からの訴えは認められず、絶望的な状況に置かれた女性が自ら死を選ぶことも少なくないといいます。
生きることが苦しみでしかないような生であっていいはずがありません。