笑うしゃれこうべ〜『ローラ・オーエンズ展』@資生堂ギャラリー

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ローラオーエンズは1970年オハイオ州生まれ。動物、植物、虫、人物などをモチーフに具象とも抽象ともいえるちょっと幻想的な絵を描く。植物を描いたものなどは刺繍の図案のようでもあるし、動物を描いたものはグラフィック的でもある。色調はくすんでいるが、躍動感があるためか、暗くはなく、明るく感じる。絵にはすべてタイトルがない。それぞれが特徴的なので、特に必要ないともいえるけれど。描いていくうちに自然に絵筆が動いていったというような即興性もあるようだ。
沼のようなところで、2個のしゃれこうべに白い犬が出くわしているというのがあって、犬の立ち止まってびっくりしている表情が面白い。幻想的な水辺の色使いもいい。
画面からはみ出しそうに白い馬が駆けていて、顔を思い切り上に向けて、4本の足を窮屈そうに折り曲げている。描いているうちに収まりきらなくなってこのような構成になったのか、馬の躍動感がタブローからはみ出しそうにあえてえがいたのか、とにかく面白い。一般的にいえば、後者(あえてそのように描いた)とおもうけれど、連作で、たとえば、タブローから馬が駆け出してしまった作品を描いたら、また面白いのじゃないかと思った。もしも、描いているうちに収まりきらなくなったということであれば、それはそれでとても面白いし、ローラの場合(なにげにともだちみたい)はむしろ、そっちなのではないかと思った。子どもの絵の描き方に近い。そのときそのときの描くということの衝動に突き動かされて描いている中から躍動感に満ちた馬が生まれたのではないか。馬のしっぽの先が汗の大きな滴のように描かれているのも描きながら、イメージがどんどん飛躍しているように感じられて、いい。
蜘蛛の巣のかかった木に腰掛ける親子のサルの絵は画面構成といい、手長ザルの表情といい水墨画の中のモチーフを思い起こさせた。下の方にはなぜかこうもりが飛んでいたり、月が浮かんでいたり、リス(?)が伸び上がって見あげていたり、蝶が下の方に小さく書かれていたりでとても楽しい。
どれも児童画にみる楽しさがある。展示数は少ないが、近くに行かれたら一見の価値はあります。無料。