「あなたの島から来た爆撃機・・・」と「うつくしい日本」と

azamiko2007-05-18



第二次大戦で、23万人もの犠牲者を出した沖縄も、世界史的にみれば、加害の島だという。
朝鮮戦争ベトナム戦争イラク爆撃・・・。
沖縄の基地から出撃しているそうだ。
沖縄が陥落して以後、本土への空襲も。
原爆投下も補給地として(長崎原爆投下後、沖縄で給油*1
「沖縄平和市民連絡会」のメンバーとして基地建設阻止行動をされてきた牧師の平良夏芽さんはイラクに医薬品などを届ける活動もされてきた。
医薬品を届けた地では「あなたの島から来た爆撃機によって・・・」と言われてきたという。
米軍基地があるとはそういうことだ。
沖縄に限ったことではない。
日本にある基地は、多かれ少なかれ、戦争に関わってきただろう。
戦後、私たちは憲法に守られて、戦争をしていないというのはよくよく考えたら欺瞞でしかない。
戦争の当事者ではないだけで、戦争に関わり、日本の島から戦闘機や兵士を送り出してきたのだから。
それでも、戦争の当事者にならずにいられたことは救いだったと思う。
歴史的にも、道義的にも誤ったアメリカの軍事的介入に巻き込まれることなく、人を殺すという苦しみを背負わずに、来られたのは、まだしもよかった。
武力で問題の解決はしないと決めた。・・・はずだ。


戦後日本のスタンスが欺瞞に満ちたものであっても、それは九条に責任があるのではなく、九条をもつだけの自覚が足りなかったということだ。
九条は、武力で問題の解決はしないという国民の決意であり、その決意を信じ、尊重しようという諸外国によって、日本は守られてきたといっていい。


しかし、どうやらそれも戦争の当事者として歩みだそうとしているように思えてならない。


2006年にはGNPの1%枠を越え、5兆円の軍事費は米ソについで、世界第三位だという。
それでも、軍事費の削減、軍縮に不安をもつひとが多いというのは、いったいどうしたわけなのか。
格差は目にみえてひろがり、年金、保険、将来に不安をもちながら、それでも軍事費をもっと、もっとと思うのはどうしてなのか・・・。
このことに周辺諸国が不安を抱かないと考える方が鈍感なのではないか。


「うつくしい国」とは軍備を拡張する国のことですか。
武力で問題を解決しないと決意した日本。
しかし、今まで、その決意のための努力を怠ってきた。
だからこその今である。


辺野古の海で必死に米軍基地建設の阻止行動をするひとびとに、自衛隊が動員されるという。
武力で問題解決をしないと決意した国の国民を守るべき自衛隊が、非暴力の住民に対し動員されるとしたら、もはや内戦状態だということだ。
「うつくしい国」などどこにあるというのだろうか。


ばるタンさんからお借りした小さな講演会のテープで夏芽さんは以下のように語っていた。(要約)

海に座り込むひとの90%はかなづちでした。
(救命具をつけて)やぐらにしがみついていると、引き剥がすために、指を一本づつねじ曲げてゆくので、指はしびれ、握力がなくなります。
今も痺れていうことをききません。
そうしてから、顔面を足で蹴るので海に投げ出されます。
それでも、また必死に泳いで行ってしがみつきます。
海面ならまだいいのですが、機材や船に叩きつけられると意識を失ってしまうので、引き上げて救急車で病院に運ばなければなりません。
自分がされることはガマンできるのですが、仲間がそういう目にあうと、相手に殺意を抱きます。それを抑えるのが苦しい。


しかし、平和のための戦いが武力であってはいけないのです。
非暴力に徹する。けっしてことばの暴力もしない。
相手も生活のために仕事をしているのは分かりますから。
「基地建設に反対しているのです。あなたたちを恨まないよ」
そうして、非暴力で抵抗していると、話ができるようになって、ひどいことは出来なくなります。
そうすると、施設局はまた新たに違う人を雇ってやってくるので、くりかえしですが(笑)


雇うひとがいなくなって、とうとう、自衛隊を動員しようというのですか?

辺野古から緊急情報はこちら
http://henoko.jp/info

へたっているわけにはいきません。
病に立ち向かう友人たちに勇気づけられながら。




【後述】
以前、「日の丸・君が代の強制」に関するトラックバックを戴いて、議論を重ねたmyhoney0079さんが5月19日のエントリーで、辺野古の米軍基地阻止行動の市民ダイバーが施設局に雇われたダイバーのレギュレーターを外したという報道に関するエントリー「平和のためなら人殺しも辞さない」を書かれていたので、あちらのみなさんと議論になりました。
関心のある方は、どうぞ
http://d.hatena.ne.jp/myhoney0079/20070519/p6

*1:誤解を招く表現でしたので訂正しました