『ヨコハマメリー』監督:中村高寛

azamiko2006-05-02



新宿テアトル、モーニングショーなので、どうせパラパラだろうとおもっていたところ、予告が始まって着いた会場は、空席がなかなか見つからず、最前列にやっと座りました。始まってからも、次々遅れてやってくる人、人。
やはり、年配の人が多かったようです。
戦後、米軍将校相手の街娼として生きてきたメリーさん。
真っ白いお化粧にメーキャップ、レース飾りのドレスを着て歩くメリーさんを見たのは、20年以上も前、横浜に住んでいたころ。
メリーさんを街娼だとは全く知らず、変わった人、着飾った奇妙な中年の女性というのが、私の印象です。
80歳を過ぎて、白髪にハイヒール、背中が曲がり、身体に比べて大きすぎるボストンバックを押して街頭を歩く姿を映像で目にして、時の移ろいの残酷さを感ぜずにいられません。
気位の高いメリーさんがわずかに交流していた人たちによって話される実像。
真っ白いお白粉は白い仮面であると作家山崎洋子は言う。
彼女がどのような生活をしていたのか、わずかに知る人たちを通して語られる人生は日本の、横浜の裏の戦後史でもあります。
1995年、忽然とハマから姿を消したメリーさんを追って、カメラが捉えたラスト。
メリーさんを支えていた今は亡き歌手の元次郎さんの姿とともに涙を禁じえません。
それは熱い感動の涙です。