横浜トリエンナーレ2005〜アートサーカス[日常からの跳躍]

azamiko2005-12-04

かな〜リ、前。11月1日に行きました。
会期も12月18日と迫ってまいりました。
今回本会場は横浜港に突き出た山下埠頭倉庫。海外から運び込まれた品々の関税待ち、入国を待つ倉庫。いうなれば、日本であって、日本から隔てられた場所でもあります。
前回に比べて、期待感からすると、物足りなかったというのが実感ですが、いろいろなイヴェントやパフォーマンス、コンサート、本会場ほか公園や路上での展示、催しを見逃しているので、単純に比較はできないかとおもいます。

印象に残った作品をいくつか。


『アンタイトルド/シャワー』ロビン・ロード(1976年南アフリカケープタウン出身。ベルリン在住)
高く白い二枚の壁に挟まれた細い通路の向こう側に人一人が立てるほどのスペースがある。
その白い壁にプロジェクターから映し出される映像はパフォーマンスを静止画で分割映写したもの。
ひとりの痩身で筋肉質の若い男がシャワーを浴びている。スローモーションなので身もだえしているようにも見える。吹き出るシャワーの水は黒い。
この黒いシャワーは、南アフリカの地中深くもぐる炭鉱夫が浴びるシャワーであり、アウシュビッツガス室民族浄化のシャワーでもあり、原爆の後に降った黒い雨をあらわしているという。
流れる音楽は重く、気だるかった。
作者のロビンは南アフリカ出身のカラードで、個人的体験も他者と共有できる。自身の作品を異なる文化の連結器と考えているという。


『告知・森』照屋勇賢(1973年沖縄生。ニューヨーク在住)
マクドナルドのハンバーガーを買って帰るときの紙袋って、いろいろあるんですね。たぶん、いろんな国や街のマックの紙袋を集めたのだろう。あの薄い紙袋の紙を小さな木の形にくりぬいて、その一部分は紙袋に繋がっている。
葉っぱの形まで細かくくりぬかれた木が紙袋の中に立っている。
紙袋の中にマックのマークから丹念にくりぬかれて、頼りなく、ぶら下がっているいろんな木を見ていたら、伐採される森の木々が想像された。光を浴びて、森に響くチェーンソー、ゆっくりと傾き倒されていく木。
同じ照屋の作品

ホワイトハウス・コンサート』照屋勇賢(1973年沖縄生。ニューヨーク在住)
会場の白い壁にどこにでもある木のドアがわずかに開いている。そこから聞こえてくる音楽は、パブロ・カザルスのチェロ曲『鳥の歌』。
1961年、ケネディー大統領がホワイトハウスで催したパブロ・カザルスを招いて開いた「ホワイトハウスコンサート」。
ケネディ反戦姿勢を生涯貫いたカザルスを招き、カタルーニャの祝歌『鳥の歌』を聴いたこのコンサートに由来した作品は、現在のアメリカの政治状況を照射したものといえるだろう。
『鳥の歌』は埠頭倉庫会場をいっぱいに流れていた。
扉の近くには向かい合って座るソファが一組
見知らぬ人と向かい合い、チェロの音に耳を傾けた。


『コンニチワヨコハマソウコデス』池永慶一
倉庫の高さいっぱいに、工事現場で使う鉄パイプで階段状の山が組まれている。一番高いところに立つと、倉庫のシャッターが開かれた向こう側には横浜港の午後の光に満たされた海が見える。
しかし、この一番高い、倉庫の天井近くにたどり着くと、いきなり、前方が消え、立ち尽くしてしまう。一瞬、宙ずりにされたような、絶壁に立たされたような恐怖が足に走る。どこかで感じた、夢の中で味わったような恐怖でもある。
しばらくして、冷静になると、それが目の錯覚で、下りが見えなかっただけなのに気付く。2回上ってみたが、分かっていても同じような恐怖感を感じた。
薄暗い倉庫の天井近くから望む海の煌きと戦慄感とが妙に記憶にこびりついている。



【コメント欄関連URL】

アナキズムBBS 治安維持に関する法律、死刑制度について
http://www5.plala.or.jp/cgi-bin/bbs/petit.cgi/mogura/bbs


榛名山、榛名湖
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/7331/
嵩山
http://www.nakanojo.com/kankou/shizen/takeyama.html



ランド・オブ・プレンティー 監督:ヴィム・ヴェンダース
http://www.landofplenty.jp/


アワーミュージック 監督:ジャン・リュック・ゴダール
http://www.godard.jp/


デッドマン 監督:ジム・ジャームッシュ 
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD10884/

東風 監督:ジャン・リュック・ゴダール
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD12209/index.html

中国女 監督:ジャン・リュック・ゴダール
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD14057/index.html

ベトナムから遠く離れて 監督:ジャン・リュック・ゴダール
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD13912/index.html

ウイークエンド 監督:ジャン・リュック・ゴダール
http://www.bowjapan.com/feg/weekend/

浅野信二
http://www.reibun-do.com/asano.htm


立処山
http://www.fujioca.com/jiti/umehara/umehara.htm

http://www8.wind.ne.jp/tanofujiokakouiki/aso-hik/hik_02.htm


映画『日本国憲法』 監督:ジャン・ユンカーマン
http://www.cine.co.jp/kenpo/

彷書月刊
http://www3.tky.3web.ne.jp/~honnoumi/