[美術]ケーテ・コルヴィッツ展@町田市立国際版画美術館

azamiko2006-05-09

6日、はじめて行った町田の美術館は緑の多い公園の中にあり、高い木立を五月の風が揺さぶる気持ちのいい午後でした。
広い会場に165点。人もまばら。
ケーテ・コルヴィッツ(1867‐1945)はドイツの女性画家、版画家。
デッサン力の力強さ、確かさはゴッホを思わせます。

絵を目の前に、直視できないと感じたのははじめてです。
どんな悲惨な場面を描いたものも見れなかったことは今まで、なかったのに、母子像を前に見続けることができなくなりました。

二つの大戦を生き、息子を戦地で失ったケーテの作品は、出発のはじめより、当時のドイツ社会の底辺部の現実を描く作品群ですが、そのテーマによるからではなく、的確な描写力、力強いタッチ、構成力、その芸術性の高さゆえに、感傷に流されることのない、強烈な訴える力があります。
ぜひ、上記『ケーテ・コルヴィッツ展』と『町田市立国際版画美術館』をクリックしてみてください。
初期の労働者を描く暗鬱な作品から一貫して死を描いてきたケーテですが、次男ペータを戦争で失ったことの悲痛からペータを抱く母子像は、抱く母と抱かれるペーターが一体となって、死の内側にのめりこんで、永遠の時間が凍りついたかのようです。
ケーテはナチスに抵抗し、弾圧を受けながら、終戦直前の1945年に亡くなります。