『思想のケミストリー』大澤真幸

azamiko2005-09-15

9月11日は衆議院選挙の後、見田宗介大澤真幸の『思想のケミストリー』(紀伊国屋書店)刊行のトークショー青山ブックセンターに行きました。原宿からぶらぶら歩いて気持ちのいい午後。そういえば、今日は9.11なのだとあらためて思う。
明治公園からデモ隊が通るというので表参道に駐車している車やバイクを動かすようにと警察の車がしきりにアナウンスしていた。
15分ほど歩いて、会場は200名定員ですでにほぼ満席。予約待ちの人もいました。
大澤真幸はときどき目にする新聞の文化欄の記事に触発されて『自由を考える──9・11以降の現代思想 』を購入、読んだとはちょっと言いがたいくらい、どんな内容だったか忘れていますが(汗)、今の時代と向き合った知識人として関心をもっています。自由を考える―9・11以降の現代思想 (NHKブックス)
活字人間ではないので、興味のない本は別にして、著者の話を聞くというのは、著書のむずかしさやわかりにくい部分を補い、想像力を触発させ、読むことの動機づけにもなってくれるので、その機会は貴重です。
見田さんは大澤さんの大学・大学院からの指導教官ということで、『思想のケミストリー』の前節(至るまで)を丁寧に話されました。
『思想のケミストリー』は未読ですが、トークショーで興味深かったことを書いておこうと思います。理解不足もあるかと思いますが。

現代は近代以降、ポストモダンであるが、真のポストモダンとは言えない。カギカッコつきの『ポストモダン』である。真の〈ポストモダン〉はどのように到達しうるか。
真のポストモダンに至るには関係の絶対性を乗り越える必要がある。
吉本隆明の「対幻想」が真のポストモダン、関係の絶対性を突き抜ける触発力のあるコンセプトを含んでいるのではないか。
吉本は関係の絶対性を客観性と言い換えることもできるとしているが、言い換えることで関係の生々しさがそぎ落とされ、現実性を失なってしまう。(大澤の独自性)
〈対幻想〉一人の人間と一人の人間が向き合うことで立ち上がってくる真の他者性が自己を開かせる契機になる。それは真のポストモダンへの通路であるはずだ。
例えば、特定の人を愛する人のほうが、関係を閉じるという面もあるが、愛するということを知っている。抽象的に愛するのは愛しているということではない。近い他者という原点が外に広がってゆく契機になる。
プレモダン、モダン、ポストモダンは固定した時代区分ではなく、回転する。

途中で激しい音が続き、「雷ですね・・・・・・外に出たら、すごかったりして・・・」と言われていたけれど、大澤さんが爆撃された市街地を連想されていたのは容易に想像できた。誰かに似ているとずっと考えていますが、それが誰なのか未だにわからない。プードルには似ています。ちょっと。
その後のサイン会で、宛名は辞退して、何かひと言書いてくださいというと近くで最後にサインをもらおうと待っていたスタッフのひとりに「ずるいなあ!!」と心から悔しそうに言われた(^−^;
『だって、自分の名前なんて書いてもらったって、しょうがないじゃないの』(オホホホ・・・〉

大澤さんはちょっと考えていらしたけれど「関係の絶対性へ向けて 大澤真幸 Sep.11.2005」とあまりお上手でない字で書いてくださった。




大徳寺高桐院の庭園の文様


【コメント欄関連URL】
山形映画祭2005年10月7日〜13日@山形
http://www.city.yamagata.yamagata.jp/yidff/home.html
山形映画祭前夜祭9月13日〜30日@アテネフランセhttp://www.athenee.net/culturalcenter/schedule/2005_09/yamagata05.html

国立近代フィルムセンター
成瀬巳喜男(大ホール)ポーランド映画祭(小ホール)
http://www.momat.go.jp/FC/fc.html


アナキストの記憶〉和田久太郎の陳述
http://d.hatena.ne.jp/ichigaya/20050621
http://d.hatena.ne.jp/ichigaya/20050901

和田久太郎の短歌『あくびの泪』
http://www.ocv.ne.jp/~kameda/muraki_wada_akubi.html
堺利彦との手紙から短歌・俳句等
http://www.ocv.ne.jp/~kameda/wada-sakai.html

メトロポリス】 BY フリッツ・ラング
http://www.pcs.ne.jp/~yu/sf/metro.html

ドイツ映画祭2005年9月10日〜19日(終了すみ)
http://www.asahi.com/event/lm/index.html
手塚治原作『メトロポリス』の映画評『ティマの悲劇』BYホランドさん
http://homepage2.nifty.com/aleksey/LIBRA/horand_metro.html